【視察レポート】第1回ヒューマノイドロボットEXPO|日本市場で求められる関節アクチュエータとは

ヒューマノイドロボットEXPOの看板
東京ビッグサイト西展示棟に掲げられた NexTech Week 2026春/ヒューマノイドロボットEXPOの看板

2026年4月15日から17日の3日間、東京ビッグサイト西展示棟にて、第1回 ヒューマノイドロボットEXPO(主催:RX Japan)が開催されました。

本展示会は、完成品のヒューマノイドロボットおよびその導入事例に特化した、日本初の専門展示会であり、国内外から約20社のロボットメーカーおよび関連テクノロジー企業が出展しました。

当社ではマーケティング担当が現地視察を実施し、会場の動向を詳細に確認してまいりました。本稿では、展示会の全体像に加え、注目企業の動き、そして“フィジカルAI時代”の到来を背景に重要性が高まる関節アクチュエータ/モーター領域の最新トレンドについて整理し、分かりやすくご紹介します。

1. 「ヒューマノイドロボットEXPO」開催概要──日本初、人型ロボットの専門展

RX Japanが主催する「NexTech Week 2026春」は、AI・人工知能EXPO NEO、ブロックチェーンEXPO、量子コンピューティングEXPO、AI時代の人材・組織改革EXPO、そしてヒューマノイドロボットEXPOの計5展で構成されています。なかでもヒューマノイドロボットEXPOは、同社が初めて人型ロボットに特化して立ち上げた専門展で、「働くロボット」をキーワードに、サービス/接客、介護・医療、製造・物流など社会実装フェーズに入り始めた完成品を一堂に見られる、国内では唯一無二の場となりました。

会期2026年4月15日(水)~17日(金)
会場東京ビッグサイト 西展示棟
主催RX Japan 合同会社
併催展AI・人工知能EXPO NEO/ブロックチェーンEXPO/量子コンピューティングEXPO/AI時代の人材・組織改革EXPO
出展規模ヒューマノイド関連で国内外 約20社(NexTech Week全体では約350社)
次回開催2026年11月 幕張メッセ(秋展):ヒューマノイドは約60社に拡大予定

2. 会場の熱気──ドリンクを運ぶロボット、立ち見だらけの講演会場

初日の朝、会場に足を踏み入れてまず驚かされたのは「人の多さ」でした。西展示棟の通路は身動きが取りづらいほど混雑し、どのブースもデモ開始の合図と同時に人垣が形成されます。第1回目にもかかわらず、主催者発表ベースで3日間の延べ来場者は約3万人規模となる見込みで、ヒューマノイドロボットに対する国内の関心の高さが如実に表れていました。

ドリンクをピッキングして手渡すヒューマノイドロボット
自販機からドリンクをピッキングし手渡すロボット。10分以上の待ち列ができる人気ぶり。

特に行列ができていたのが、ヒューマノイドがドリンクを提供する体験デモ。自販機から商品をピックアップして手渡すという一見単純な動作ですが、そこには「物体認識」「多自由度マニピュレーション」「人との安全な協調動作」といった、フィジカルAI時代のヒューマノイドに求められるコア技術が凝縮されていました。10分以上並んでも体験したいという来場者が途切れず、”見世物”としてではなく、自分たちの現場に導入するイメージを重ねて見ている来場者が多かった印象です。

Humanoid Talk Stage
Humanoid TALK STAGE。講演には後方・側面まで立ち見の聴衆で埋まった

もう一つ注目を集めていたのが併設の「Humanoid TALK STAGE」です。ほぼ全ての講演にて、開始前から会場後方と側面まで立ち見の聴衆で埋まりました。

3. 出展企業ハイライト──中国勢の圧倒的存在感と日本パートナーの動き

出展企業を見渡して強く感じたのは、中国発のヒューマノイドロボットメーカーとその日本パートナーが存在感を放っていた点です。ブース単体の面積・ロボットの稼働数・スタッフの数、いずれも主催者ブースに匹敵するスケールで展示されていました。

GALBOT(星動紀元)ブース
入口正面に配置された GALBOT(星動紀元)ブース。常時黒山の人だかりができていた

中国メーカー+日本代理店(今回確認できた主なブース)

  • Pocket Queries(AgiBot/智元機器人の国内展開)
  • GA Robotics(UBTECH/優必選「Cruzr S2」など)
  • ASKA/DOBOT JAPAN(越疆科技)
  • FastLabel/Prox Industries(REALMAN/睿爾曼智能)
  • TRON(LimX Dynamics/逐際動力、Booster RoboticsなどのフィジカルAI導入支援)

中国メーカー(直接出展)

  • GALBOT(星動紀元)──入口正面、本展示会の最大集客ブース
  • Booster Robotics(加速進化)──19.5kgの軽量二足歩行モデル
  • Manus AI(蝴蝶効応)
  • SenseTime(商湯科技)──AI囲碁ロボット

TRONブース
「フィジカルAI導入支援」を掲げるTRONブース。Booster RoboticsやLimX Dynamicsの機体が並ぶ。

今回の展示会で目立ったのは、単なるハードウェアの完成度を競う段階を超え、TRONブースの「フィジカルAI導入支援」に見られるような、包括的なソリューション提案です。

ロボット本体に加え、学習・シミュレーション基盤、さらにはVLA(Vision-Language-Action)やVLM(Vision-Language Model)によるデータ収集までをパッケージ化し、日本企業へ提案する動きが加速しています。

ヒューマノイドの競争軸が、ハードウェア単体の性能から「ソフト・AI・データ」を含めた総合力へと明確にシフトしている。そう強く体感できる展示会でした。

4. “見学”から”実装”へ──日本市場の現在地と、早期参入の狙い目

一方で、会場を冷静に観察して見えてきたのは、来場者の多くがまだ「純粋な見学・情報収集」段階にとどまっているという現実です。大半のブースでは商談ブースが常時混雑するというよりは、デモを取り囲んで撮影・体験する”一般来場者の熱気”が中心でした。ヒューマノイドロボットは単価も導入難度も高く、実運用までには現場側の業務設計・安全設計・メンテナンス体制の構築が欠かせません。

裏を返せば、今はまだロボット市場で「どのメーカーが本命か」「どの駆動系・アクチュエータ構成が勝ち残るか」が完全には確定していないフェーズだということです。主催者の発表によれば、2026年11月に幕張メッセで開催される秋展では、ヒューマノイド関連の出展社が春の約2倍(60社規模)に拡大するとのこと。導入検討側にとっても、供給側(ロボットメーカー・コンポーネントメーカー)にとっても、早期に日本市場へのポジションを取りに行く好機と言えるでしょう。

5. ヒューマノイドロボットの競争力を決める「関節アクチュエータ/モーター」

展示会のデモを繰り返し観察してわかるのは、ヒューマノイドロボットの”動きの良さ”を左右する最大のボトルネックが、関節部に搭載されるアクチュエータだということです。全身で20〜40以上の自由度を持つヒューマノイドでは、肩・肘・手首・股関節・膝・足首それぞれに、高トルク・低バックラッシュ・低慣性・正確な電流/位置/速度制御を両立したモーターを高密度に搭載する必要があります。

そこで主流となっているのが、BLDCモーターと小さな減速比(6:1〜10:1程度)の遊星ギアを組み合わせる「QDD(Quasi Direct Drive/準ダイレクトドライブ)」方式です。純粋なダイレクトドライブの滑らかさと、ハーモニックドライブを用いた高減速方式の高トルク密度の”中間解”として、衝撃吸収(バックドライバビリティ)と応答性、制御しやすさを高いレベルで両立できます。現在、中国発のヒューマノイドメーカーの多くが採用しているのもこの方式で、今回の展示会でも、多くの二足歩行ロボットの脚部・腕部にQDDアクチュエータが搭載されていました。

6. CubeMars® AKシリーズ──ヒューマノイド向け関節アクチュエータの有力解

関節アクチュエータ分野において、世界のヒューマノイドや外骨格、四足歩行ロボットの研究開発現場で選ばれ続けているのが、当社が日本正規代理店を務める CubeMars®(キューブマーズ)です。CubeMars® は、ブラシレスDCモーターで17年の実績を誇るロボットモーターブランド。ロボティックアクチュエータをはじめ、フレームレストルクモーター、ジンバルモーター、水中用スラスタまで、幅広いラインアップを展開しています。

AKシリーズ ロボティックアクチュエータの特長

  • BLDCモーター+遊星減速機+デュアルエンコーダ+ドライバを一体化した高集積QDD構造
  • サーボ制御モードとMIT制御モードの両対応。独自アルゴリズム実装にもリファレンス実装にもそのまま使える
  • CANバス通信(信号線と電源線をXT30 2+2コネクタに統合)で配線をシンプル化
  • 過電流・過電圧/低電圧・過熱保護を内蔵し、アダプティブPIDで立ち上げ調整を短縮
  • 肩・肘・手首・股関節・膝・足首ごとに最適化されたモデルを揃え、全身一括の設計が可能

代表モデル(抜粋スペック)

モデル減速比定格トルクピークトルク重量 / 代表用途
AK70-1010:18.3 N・m24.8 N・m521g / 腕・手首
AK80-9 V3.09:19 N・m22 N・m490g / 腕・肩
AK10-9 V3.09:118 N・m53 N・m940g / 股関節・膝
AK45-3636:1大トルク密度
>70 N・m/kg
同左340g / 小型軽量関節

※ 上記はCubeMars® 公式サイトの公表値に基づく参考値です。型番・制御モード・電源電圧により性能は変動します。最新スペック・詳細寸法は当社までお問い合わせください。

7. 山水先端技術のサポート体制──CubeMars® 製品を“日本品質”で確実に導入

当社はCubeMars® の日本正規代理店として、ヒューマノイドロボット、協働ロボット、AGV/AMR、外骨格デバイス、医療・福祉ロボットなど幅広い分野のお客様に対し、導入検討から実装・運用まで一貫した技術サポートを提供しています。

単なる製品供給にとどまらず、日本市場に求められる品質・信頼性・対応力を重視し、以下のような付加価値をご提供しています。

  • 日本語による技術サポート:制御モードの選定、CAN通信設計、ファームウェア連携など、導入初期の技術課題に対して日本語で迅速に対応
  • アプリケーション別モデル選定支援:関節位置・負荷条件・必要トルク・回転速度などの要件に基づき、最適なCubeMars® 製品シリーズをご提案
  • カスタマイズ対応:コネクタ仕様、ケーブル長、ファームウェア設定、巻線仕様など、用途に応じた柔軟なカスタム相談が可能
  • 短納期対応(受注手配):原則として受注手配となりますが、メーカーとの密な連携によりリードタイムの最適化を図り、短納期での供給を実現しています。
  • 導入後の技術フォロー:ドライバ不具合の一次切り分け、リプレース・長期供給に関するご相談まで一貫して対応

ヒューマノイドロボットの開発・調達・導入をご検討中のメーカー様、システムインテグレータ様、研究機関様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
CubeMars® の豊富なラインアップの中から、貴社のロボットに最適なアクチュエータ/モーターをご提案いたします。

▶ CubeMars® アクチュエータ/モーターのご相談は
CubeMars® 日本正規代理店 山水先端技術株式会社
・ヒューマノイド/四足/外骨格/協働ロボット向けアクチュエータのご相談
・AKシリーズ、フレームレストルクモーター、QDDモーターのサンプル評価
・カスタム仕様、量産供給、長期保守のご相談

お問い合わせ窓口:当社ウェブサイトの「お問い合わせ」フォーム、または営業担当までご連絡ください。

次回の「ヒューマノイドロボットEXPO 2026秋」(11月、幕張メッセ)でも、当社は最新のCubeMars製品情報とアプリケーション事例をご紹介予定です。本記事が、日本のヒューマノイドロボット・フィジカルAI市場の最前線を捉える一助となれば幸いです。